集中力が続かないのは「英語力不足」ではなく「エネルギーの使い方」の問題
TOEICのリスニングやリーディングで、最初は順調でも途中から集中力が切れて正答率が落ちてしまう——このような悩みを持つ方は非常に多いです。
特に、スコアが600点台から700点台に伸びてきたあたりの学習者の方々は、「読む力・聞く力」そのものは確実に備わってきている一方で、英語処理に必要なエネルギーがまだ大きく、理解の過程で消耗してしまう段階にあります。
集中力を維持するために必要なのは、単に「根性」ではなく、長時間の英語作業に慣れるトレーニングと、理解の足かせになっている技術的要素を取り除く工夫です。
以下では、実践しやすい対策を2つの観点から紹介します。
長時間の英語作業に慣れる:集中の「持久力」をつける
まず大切なのは、「長時間連続で英語に取り組むことに慣れる」ことです。
TOEICは約2時間に及ぶテスト。普段10分、20分単位でしか学習していない場合、本番で集中が途切れるのは自然なことです。
■ トレーニング方法
リスニングであれば、30~40分間、集中し続ける練習を行ってみましょう。
途中で別の学習項目に移らず、最後までリスニング関連のトレーニングや見直しに連続して集中する目的にします。できれば週2回程度でも続けてみると、少しずつ「集中が途切れにくい」状態が作られていきます。
通勤中に30分程度、スマートフォンで英語音声を集中して聞き取るのも効果的です。
このとき「ながら聞き」ではなく、要約するつもりで聴くことがポイントです。
リーディングでも同様に、30~40分間は特定のの読解作業に連続で没頭します。
■ 社会人でも無理なく取り入れるコツ
社会人の方は隙間時間で学習を進めていることが多く、「そんなに長い時間は取れない」と感じるかもしれません。
ですが、週2回・30分の集中トレーニングでも十分です。
重要なのは、「時間の長さ」よりも「集中状態で英語に向かう経験」を増やすこと。
これにより、2時間の試験時間にも身体と脳が慣れていきます。
技術を磨いて「理解のエネルギー消費」を減らす
もう一つのアプローチは、読解・リスニングの技術を高めることで集中の体力をセーブすることです。
スコアが伸びていくにつれ、英語を理解するために必要なエネルギーは確実に減っていきます。
つまり、技術が上がるほど「集中力のスタミナ」が自然と増えていくのです。
■ どこでつっかかっているかを可視化する
問題演習のあと、「どこで理解が止まったのか」を分析する習慣をつけましょう。
たとえばリーディングであれば、文構造が複雑な箇所なのか、語彙が原因なのか。
リスニングであれば、音の連結やイントネーション、文の展開スピードに対応できなかったのか。
自分が「どんな時に集中を失っているのか」を見極めると、学習の優先順位が明確になります。
苦手文法や曖昧な語彙を潰すことが、結果的に集中の持続にもつながります。
戦略的に「意識を保つ」テクニック
本番のTOEICは200問という長丁場です。途中で「まだ半分も残っている」と感じてしまうと、途端に集中力が落ちてしまうものです。
そのため、一題一題を“最初で最後の問題”だと思って解くという意識法をおすすめします。
「200問あるテスト」ではなく、「一問勝負を200回繰り返す」と考えると、各パートへの集中度が自然と高まります。
これは多くの受講生に実際に試していただき、効果を実感している方法です。
また、少しユニークですが、見た目の変化で集中をリセットする方法もあります。
例えば普段と違う色のマニキュアを塗る、指輪を変えるなど。
視界に入るたびに「今日は集中する日」と意識を切り替える効果があります。
このような小さな“トリガー”が集中を保つスイッチになることも少なくありません。
集中力は「意識」でなく「習慣」で伸ばす
集中力は、意志の強さよりも習慣の積み重ねで高められる能力です。
長時間集中できる人は、生まれつきの才能ではなく、日々の練習で「集中しやすい体と頭」を作っています。
特に英語のように、脳が多くの情報処理を要求される分野では、「技術×慣れ」が最も効果的なアプローチです。
まずは、週に数回でも構いません。
30~40分、英語に完全に集中する時間を確保してみてください。
最初は苦しくても、数週間で「集中が切れにくくなっている」ことを実感できるはずです。
そして、理解の妨げになっている部分を丁寧に取り除いていくことで、自然と集中の持続時間は伸びていきます。
焦らず、静かに、少しずつ「英語の集中体力」を育てていきましょう。
英語学習の「集中力」も、トレーニングで変えられる
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