TOEICで点数が伸びなくなったときの突破口

TOEICの学習を進めていくと、多くの学習者が「点数が伸び悩む壁」に直面します。特に700点前後を超えたあたりから、いくら問題集を解いても、模試を繰り返してもスコアが大きく伸びないという悩みを抱える方は少なくありません。これは決して努力不足ではなく、学習の性質が変わる時期に差し掛かっていることを意味します。ここでは、その理由と具体的な突破法について整理してみましょう。


700点台で伸び悩む理由

700点から800点にかけてのスコア帯は、TOEICを受験する人にとって一つの大きな山場です。このレベルに到達した人は、すでに基礎的な単語力や文法知識、設問への慣れを身につけています。そのため、金フレ、でる1000問、公式問題集といった代表的な教材を繰り返しても、最初のように点数が一気に伸びることは少なくなります。

理由はシンプルで、テキスト学習で習得できる部分をおおむね吸収しきったからです。TOEICの設問は限られた範囲の語彙や文法で構成されていますが、700点以降では「試験用の知識」だけでは対応しきれない局面が出てきます。つまり、実際に現地で暮らし、学校や職場で英語を使うような場面に耐えられるレベルの力が要求されてくるのです。


「就学・就業できる英語」とは何か

では、教材学習の域を越えて「現地で通用する英語力」とはどのようなものでしょうか。大きく分けると、次の二つに集約されます。

  1. ネイティブスピードの会話を理解できる力
    教材用に収録された音声は、比較的クリアで聞き取りやすい発音や速度に調整されています。しかし実際の英語話者は、TEDのスピーカーやYouTuber、Vloggerのように、より自然で速いテンポで話します。このスピードに慣れ、要点を聞き取る力がなければ、TOEIC900点以上を目指すのは難しいでしょう。
  2. 大量の文書から効率的に情報を得る力
    ビジネスや学術の現場では、数ページに及ぶレポートや記事を短時間で読み取り、要点を整理することが求められます。TOEICの長文読解セクションは、この力を試すものでもあります。試験時間に追われて解答できない人は、この「俯瞰的に読み、情報を取捨選択する力」が不足しているケースが多いのです。

リスニング強化の実践法

リスニング力を伸ばすには、まず「教材を越えた自然な音声」に触れることが重要です。おすすめの一つがTED Talksです。例えば、アンジェラ・リー・ダックワースの “Grit: The power of passion and perseverance” のスピーチは、内容もわかりやすく、学習素材として適しています。
https://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_grit_the_power_of_passion_and_perseverance/transcript

具体的なトレーニング方法はレベルによって変えましょう。

  • TOEIC600点台の学習者は、まずディクテーションがおすすめです。数分間の音声を繰り返し聞きながら全文を書き取り、聞き取れなかった部分を確認する過程で、自然な音声を聞く上での弱点を明確にし、訓練する事ができます。
  • TOEIC700〜800点台の学習者は、一度聞いただけで要点を箇条書きにする練習が効果的です。完全に書き取る必要はありません。むしろ要約の精度を高めることが、実際の試験のリスニング力に直結します。

このように負荷を段階的に変え、自分のレベルに合った方法で取り組むことが大切です。


読解力を鍛えるトレーニング

読解についても、教材学習だけでは限界があります。そこで役立つのが、オンラインで手に入る英語ニュースサイトです。例えば News in Levels https://www.newsinlevels.com/ は、同じニュースを複数の難易度で提供しており、自分の現在の読解力に合わせて記事を選ぶことができます。

学習方法のポイントは「制限時間を設けて一度で読み切る」ことです。だらだらと訳しながら読むのではなく、限られた時間内に要点を把握する練習を重ねることで、TOEICの長文問題でもスピードと正確さを両立できるようになります。読み終わった後には、要点を日本語や英語で簡単に要約してみましょう。この要約の習慣が、情報を取捨選択する力を確実に伸ばします。


TOEIC対策と並行して進める

ここまで紹介した「TEDを活用したリスニング」と「News in Levelsを用いた読解」の二つのトレーニングは、従来のTOEIC教材学習と並行して進めるのが効果的です。金フレやでる1000問、公式問題集といった基礎を固める教材は依然として有効です。それに加え、数か月から半年の期間をかけて自然な音声や本格的な記事に触れることにより、スコアは次のステージに到達しやすくなります。

実際に900点以上を取る受験者の多くは、教材だけに頼らず、日常的に英語ニュースや動画を視聴し、要点を整理する訓練を習慣化しています。試験の得点を上げるための勉強から、実際の英語運用力を磨く学習へとシフトすることが突破口となるのです。


時間が取れない人への工夫

もちろん、多忙な社会人にとっては学習時間の確保自体が難題です。その場合は、すき間時間をうまく活用しましょう。通勤中のリスニング、昼休みの短いリーディング、就寝前の要約練習など、1回10分でも積み重ねれば十分に効果は出ます。

学習時間確保の工夫については、次の記事も参考になります。
大人の英語学習時間の確保法


まとめ

TOEICで700点前後に到達し、そこから伸び悩むのは自然なプロセスです。教材学習を土台にしたうえで、ネイティブスピードのリスニングと、大量の英文を効率的に処理する読解力を養うことが次のステップとなります。TEDやNews in Levelsといった無料の学習素材を活用し、要約やディクテーションを習慣化していきましょう。数か月から半年の継続で、900点に手が届く力が徐々に備わっていきます。

スコアを伸ばす鍵は、「試験用の勉強」から「実際に使える英語力を磨く学習」への転換です。この意識の変化こそが、停滞期を抜け出す最も確実な方法なのです。

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