サッカーにおけるフィールド ピッチ (Football pitch) や、商品やサービスのセールスピッチ(Sales Pitch)で使われる単語 ‘PITCH’、この2パターンの時点で既にイメージが全く異なり、カタカナで利用されているのにも関わらず、正直実際なんだかよく分からないという印象です。全体像は一体どうなっているのでしょう。
語源1 「頂点」「傾き」「高さ」「投げる行為」
https://www.etymonline.com/jp/word/pitch
オンライン語源辞書 ‘Etymoline’によると、 一つ目の ‘PITCH’ という単語の成り立ちとして、「頂点」(杭(試合場や販売展示場))、「傾き」、「高さ」、「頻度」、「投げる行為」、「音調」など、1520年頃から1851年までに活発に変化したようで、残念ながら互いの語源の深い関連性や変化の経緯はこの記事では触れていません。名詞、動詞両方で使われたようです。



語源1「頂点」「傾き」「高さ」「投げる行為」などの例文
例えば下記のような使い方があります。
- a good pitch in quoits (クォイツ):輪投げの良い「投げ」
- The teams met on the pitch.:各チームは試合のフィールドで合った(フィールドは4つの杭でエリアを示すため)
- The pitch of this saw is perfect for that type of wood.:こののこぎりの歯の間隔は木を切るのに最適だ(間隔=頻度と解釈)
- the pitch of the roof :屋根の傾き
- the pitch of an aircraft:航空機の傾き
- high-pitched voices make me feel uneasy sometimes: 高音(高周波)の声は時々私を不安な気持ちにさせる
- pitch a tent: (杭を刺して)テントを張る
- cricket pitch: クリケット(スポーツ)が行われる中央の長方形のエリア(エリアを示す杭に関連)
語源2「暗い色の粘着性の物質」
二つ目の ‘PITCH’ という単語の成り立ちは、「暗い色の粘着性の物質」(石炭などを蒸留したときの残滓があります。残滓にはタール(液体)とピッチ(固形)があり、COAL TAR PITCH というと液体, PITCHと言う場合は、写真の様な固形化した物質や、粘土の高い半液状の物質をイメージします。

古英語、ゲルマン語、フリジア語、古高ドイツ語、古ノルド語、ラテン語、古フランス語、ギリシャ語、リトアニア語、古教会スラブ語、ロシア語など、多くの古代の地域が、「暗い色の粘着性の物質」の意味でのpitchの元となる単語を共有しています。
それが1300年頃から、色としての「黒さ」を表すようになり、1590年代以降、Pitch-black「ピッチのように黒い」pitch-dark「ピッチのように暗い、非常に暗い」などの表現が生まれました。
- Coal tar pitch:コールタールピッチ
- The train entered a pitch-black tunnel. 列車は真っ暗なトンネルに入った
‘PITCH’ 便利に使えるようになるには?
自分が使い勝手の良さそうなものだけリストアップしてイメトレしておくと効率的かもしれません。
例えば、
- 音楽や声などの音程(音)
- ボールを投げる(ボール)
- 試合場などエリア(エリア)
- 飛行機や船などの傾斜(傾き)
- 歯並びなどの位置のバランス(頻度の安定性、バランス)
- 真っ黒、真っ暗な状態(真っ暗)
のようにピンポイントでイメージを持っておくと、咄嗟の英会話でpitchという単語が自分の口から出て来るようになるのではないでしょうか。