英語を勉強しているものの、自分はオープンマインドでも明るい性格でもない。だから英会話を使う場面がそもそも訪れないのではないか。学んでも意味がないのではないか。こうした悩みを抱える学習者は決して少なくありません。
しかし結論から言えば、英語力の価値はコミュニケーションの明るさに左右されません。性格が内向的であっても、英語を学ぶメリットは大きく、むしろ内向的な人が優位に立つ場面も多く存在します。ここでは、その理由を丁寧に解説しながら、英語学習に前向きになれる視点を提示します。
自分の世界を持つことが、英会話の強みになる
世間では、明るくて社交的な人ほど英語学習に向いているというイメージがあります。しかし実際には、性格の明暗とは関係なく、英語を使うとき最も重要なのは自分が大切にしている世界や興味を持った内容、いわゆる個人のコンテンツです。
いわゆる陰キャと呼ばれる方の中には、自分の興味分野が深く、専門的な知識や豊かな経験を持っている人が多くいます。アニメ、技術分野、音楽、歴史、ゲーム、文学など、興味の領域が濃いほど、同じ趣味を持つ相手と出会ったときに深いコミュニケーションが可能になります。
英会話とは、決して大人数の中で明るく振る舞うことではありません。むしろ、一対一の静かなやり取りの中で、自分の好きなことを語る場面こそ多く、その場では内向的な気質が強みとして働きます。海外にも社交的な人はいますし、内向的で静かな人も数多く存在します。性格の近い相手とつながる機会は、思っている以上に豊富なのです。
似た者同士のつながりは国境を超える
性格や趣味、好みが合う相手とは、たとえ国籍が異なっていても自然と関係が長く続きます。海外でも、明るく社交的なタイプがいる一方、慎重で落ち着いた性格の人、自分の世界を大切にする人は数多くいます。
英語を使う場面といえば、大勢の前で話すイメージを持つ人もいますが、実際の英語使用シーンの多くは、趣味を通したSNSのやり取り、ゲーム内の交流、小規模なコミュニティ、メール、チャットなどです。どれも、内向的な人にとって負荷が少ないコミュニケーション手段です。
似た趣味の人同士が英語で自然につながる例は珍しくありません。言語は性格を変えるツールではなく、同じ興味を持つ相手と関わる“回路”にすぎないからです。
英語は「情報収集ツール」。明るさとは無関係
英語学習の価値は、コミュニケーションだけではありません。むしろ近年は、情報収集のために英語力が必要になる場面が急増しています。
たとえば、海外のニュース、専門分野の最新情報、論文、技術情報、アーティストのSNS、YouTube の発言、ライブ配信、ゲームのアップデート情報など、多くが英語で発信されています。本人が使う気がなくても、情報量が明らかに変わるため、英語が理解できるかどうかで世界の見え方が大きく違います。
実際に、英語以外の言語が読めないと困る例もあります。ある人は韓国語が読めず、最近気になり始めた韓国アーティストのファンコミュニティで、Twitter のコメントが全く読めないし、毎度「翻訳」ボタンを押すのも面倒。と話していました。周りが盛り上がっている情報が理解できないため、本人は強く不便を感じているとのことでした。
英語はそれと同じで、明るさとは無関係に情報アクセスの幅を広げてくれます。使わないと思っていても、気付けば自然と必要になるケースが多いのです。
英語を学ぶ意味は、いつの時代も確実に存在する
言語は「明るさ」を測る道具ではありません。学習した先にあるのは、人や情報との接点が増え、世界が広がるというごくシンプルな価値です。内向的であっても、英語を使う機会は思っている以上に存在しますし、むしろ性格に合った形で活かすことができます。
英語学習に意味があるかどうかは、性格ではなく、あなたの興味や人生の方向性が決めます。そして興味やこだわりは、多くの場合、内向的な人ほど深く豊かです。
英語の世界は広く、静かに続ける人にも優しい場所があります。自分の世界と歩調を合わせながら、無理なく学び続ければ、必ず役立つタイミングが訪れます。
