はじめに
英語学習の中で「単語暗記ほど大変なものはない」と感じる方は少なくありません。特にTOEICや資格試験、あるいは実務で必要になって勉強を始めた社会人にとって、「単語が頭に入らない」「何千語なんてとても無理」「覚えてもすぐ忘れる」といった悩みは共通です。
これまで200名以上の方(英語コーチング利用者も含む)の単語学習をサポートしてきた中で、よくいただく不安や悩みに対して、具体的な解決策をお伝えしてきました。この記事では、その代表的なアドバイスを整理してご紹介します。
「覚えられないのは自分のせい」と思う必要はありません。工夫次第で、負担を減らし、覚えやすく、そして使える単語にしていくことが可能です。
「何千単語も覚えられる気がしない」方へのアドバイス
ふるいにかける
最初から単語帳を丸ごと使うのではなく、知らない単語だけを抜き出して別リストを作りましょう。Excelでもルーズリーフでも構いません。
こうすることで「実際に覚えるべき単語数」を減らすだけでなく、視覚的な量も減らせるため、精神的な負担が軽くなります。「これなら終わりが見える」という安心感は、意外に大きな効果を発揮します。
覚えにくい単語を先にマスター
最初に数百語をざっと一周したら、「どうしても覚えにくい単語リスト」を作りましょう。そのリストだけを集中して先にマスターするのです。
覚えにくい単語さえ攻略すれば、その後は比較的覚えやすい単語が残ります。復習のスピードも格段に上がり、効率が良くなります。
精神的負担は減っていく
「全部覚えよう」と思うと途方もなく感じますが、単語学習の負担は一定ではありません。進めれば進めるほど楽になっていきます。
単語帳の1/3を終えた時点でも、実は精神的なハードルは大きく下がっています(もしそれが覚えにくい単語群ならば精神的負担の軽減はなおさらです)。最初から「三分の一までやってみる」と小さなゴールを置くことで、自然と最後まで続けやすくなります。
「何度復習しても覚えられない単語がある」方へのアドバイス
語源を調べてみる
暗記しにくい単語は「意味がつかみにくい」ことが多いです。そうした単語は語源を調べるのがおすすめです。
たとえば improve(改善する) は、
- in:〜にする
- prov:利益(profit と同じ語源)
という要素から成り立っています。意味の背景を知ると、単語が「単なる記号」ではなく「意味のある構造」として理解できるようになります。推測力も身につき、暗記の助けになります。
画像検索を活用
「イメージが浮かばない」単語は、Google画像検索が役立ちます。
たとえば aisle(通路、列)。単語帳に「列」と書いてあっても、line と混同してしまいがちです。しかし、検索して座席の間の通路やスーパーの陳列棚の写真を見ると、「あ、こういう列なのか!」と腑に落ちます。
曖昧なまま何度も復習するより、一度イメージを掴んだほうが記憶の定着は圧倒的に速いのです。
例文で点を線に(AI活用も)
結局は「文中で出会うこと」が最も効果的です。
例文を読むのは面倒に感じるかもしれませんが、単語と意味のリンクが速くなり、日本語を介さない理解につながります。苦手な単語だけでも例文で確認することで、知識が「点」から「線」になり、さらには「面」へと広がっていきます。
最近ではチャットGPTで知らない単語を用いて簡単なストーリーを作ってもらう事も容易にできます。Z会の「速読英単語」シリーズなどはパッセージから単語を覚えるための人気シリーズですが、それと同じことがPCさえあれば手元で3分でできてしまうのです。更に今では「音読さん」など無料ネイティブ音声生成ツールなども普及しています。覚えにくい単語だけを集めてストーリを作り音声データ化して通勤時間中に聞いたり軽くシャドウイングするなどは、良いトレーニングになるでしょう。
「覚えたところで運用できない」方へのアドバイス
単語はフレーズで覚える
単語だけでは会話やライティングにはなりません。理想的には「フレーズ単位」で暗記することです。
例:impose a new tax: 新たな税金を課す、 impose on your plans/kindness 他人の予定や親切にのしかかる など
ただし、何千語もフレーズで覚えるのは現実的ではありません。そこで例えば次のように優先順位をつけましょう。
- 単語帳は基本的に「単語単位」で覚える
- ただし以下は「フレーズ単位」で覚える
1. 覚えにくい単語(特に動詞)
2. 身近に感じる単語(特に動詞)
3. 学習中に偶然出会った単語(会話で役立つ動詞など)
こうすれば負担は増やさず、「使える単語」を効率的に増やすことができます。
「スキマ時間を最大限活用したい」方へのアドバイス
自己テストの環境を整える
大切なのは「スキマ時間が生まれた瞬間に単語テストを始められる」環境を作っておくことです。
たとえば:
- Anki, abceed, Quizlet などのアプリ
- 自作のクラウド単語リスト
- 紙の単語カード
これらを準備しておけば、ランチでの待ち時間や信号待ちなど、1分でも「即・自己テスト」ができます。
覚えたい単語は休日などに全て登録やリスト化を済ませておき、どの日のスキマ時間にどの範囲を見るかまで決め、スマホをセットしておきましょう。
とにかく浅く広く触れるプロセスも大切
単語は覚えても忘れるのが当たり前。常にガッツリ覚えようとせず、スキマ時間に広くザーッと目を通すというプロセスもアリです。
例えば一週間に50語は確実に暗記しつつ、毎日100語は「ざっと見る」という二段階のプロセスを敷く事で頻繁に復習でき、結果として単語の定着も早くなります。
目的別にテスト方向を変える
- TOEIC, 英検一次試験対策など:英→日で自己テスト
- 英会話や英検二次試験のアウトプットやスピーキング対策:日→英(できればフレーズ単位)で自己テスト
この切り替えを意識することで、「テストで読んで理解できる」スキルと、「考えを適切にアウトプットできる」スキルの両方を適切にカバーできます。
まとめ
単語暗記に関する悩みは、人によって少しずつ違います。
- 「数が多すぎて無理」→ 量を減らす工夫 を
- 「覚えられない単語がある」→ 語源・画像・例文で補強
- 「覚えても使えない」→ フレーズ単位で暗記
- 「時間がない」→ スキマ時間に自己テスト
こうした工夫を積み重ねれば、学習のストレスを減らしつつ、確実に語彙力を伸ばしていくことができます。
「暗記は苦手」と思っている方こそ、方法を少し変えるだけで、驚くほど前進できます。単語力はすべての英語スキルの基盤。焦らず、でも毎日少しずつ積み重ねていきましょう。
verde 英語コーチングでは毎週の英単語テストを実施したりなど、単語暗記にも伴走しています。
是非ご相談ください。
