英語学習の中でも、リスニングは「努力が成果に結びつくまでに時間がかかる」分野です。
単語を覚えたり文法を理解したりするのと違い、聞けるようになるには「量」と「段階」が必要です。
ここでは、中学英語も少し怪しいという初級レベルの方向けに、どのようにリスニングを始め、どんな順番で力を伸ばしていけば良いのかを整理してお伝えします。
リスニングは語彙・文法と同時に進める
まず大前提として、英語は「語彙」と「文法」を理解していなければ聞き取ることができません。
いきなり音声を聞き始めても、知らない単語が多すぎて内容が頭に入らないため、すぐに挫折してしまいます。
そのため、初級者の学習は以下の3つを同時進行で進めるのが理想的です。
- 基礎語彙
- 基礎文法
- 聞き流し(耳慣らし)
語彙と文法の勉強を中心にしながら、軽い聞き流しを毎日取り入れていく。この「並行型」の進め方が、最も効率的にリスニング力を伸ばす方法です。
聞き流しを早く始めるべき理由
語彙や文法の基礎を固める前に、「どうせ聞き取れない」と思って音声を避けてしまう人がいます。
しかし、リスニング力は聞いた量”に比例して伸びるものです。
聞きすぎても悪いことはありません。むしろ、どんな形であっても耳を英語に慣らすことが早ければ早いほど良いのです。
たとえば、YouTubeの「Sakura English」など、初級者向けのチャンネルを利用して、毎日10分ほど、同じ部分を繰り返し聞くのはおすすめです。
重要なのは「新しい内容を次々と聞かない」こと。
同じ素材を何度も聞くことで、少しずつ音の輪郭がつかめ、自然と単語や表現が耳に残るようになります。
語彙学習の目安
語彙が少ないと、どれほど音に慣れても理解が追いつきません。
まずは、入門用の単語帳を使い、1000語程度を目標にしましょう。
おすすめは以下のような定番教材です。
- 『キクタン【Entry】』
- 『ターゲット1400』の前半(1000語程度まで)
単語は一度で覚えようとせず、「何度も出会う」ことで定着します。
通勤中や家事の合間などにアプリを活用し、短時間でも毎日触れることが大切です。
文法学習の基本ポイント
文法を知らないと、リスニングで「どこが主語か」「どこが動詞か」がわからず、全体の構造がつかめません。
基礎的な文法を整理しておくことで、聞こえてきた単語の役割がすぐに判断できるようになります。
特に以下の分野を中心に学習しましょう。
- 基本文型(SVO、SVCなど)
- 品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞の役割)
- 副詞節(when, because, if など)
- that節(意見や感情を表す文で頻出)
- 関係詞(who, which, that など)
- 分詞構文(慣れてきたら理解する程度で十分)
『Try it』シリーズの解説動画など、使いやすいものを選ぶと続けやすいです。
本格的なリスニング練習を始める
語彙と文法の基礎がある程度固まったら、いよいよ「本格的なリスニング練習」に入ります。
おすすめは、YouTubeのニュース教材やリスニング専用の動画(例:こちらの教材 など)を使う方法です。
この段階では、聞き取れることよりも、分析することを意識しましょう。
1文ずつ停止してOKです。
どんな文型になっているか、どの単語が主語・述語・目的語か、文法的な骨格を確かめながら聞くことが重要です。
文の構造を意識して聞くことで、英語を「音としてではなく、意味として」理解できるようになります。
特に、述語動詞(V)は一文に必ず一つ現れるため、毎文「Vはどこか」を意識して聞くのは良い訓練です。
ディクテーションのすすめ
聞き取り力を鍛えるには、「ディクテーション(書き取り)」が非常に効果的です。
音声を一文ずつ聞き取り、自分で文字に起こすことで、音のつながりや脱落、リエゾンなどに自然と気づけるようになります。
聞き取れない部分は何度も繰り返し再生し、スクリプトを確認しながら違いを分析しましょう。
理想は、音を聞いた瞬間に情景が浮かぶくらいまで聞き込むことです。
語彙・文法の強化を並行して続ける
リスニングの練習を始めた後も、語彙・文法の学習は止めずに続けましょう。
リスニングで新しく出会った単語やフレーズは、エクセルやアプリにまとめ、「音と意味をセットで覚える」のが効果的です。
リスニング+語彙強化+文法強化の三本柱を、数か月ほど継続してみてください。
これが定着すればもはや初学者ではなく、英語力全体が中級レベルに近づいているはずです。
一文リスニングから「パッセージ理解」へ
基礎が身についたら、次のステップは「一文ごと」ではなく「流れ全体」で聞く練習です。
つまり、**リテンション(全体把握力)**を養う段階です。
英検準2級レベルのリスニング問題や、短い会話・アナウンスの音声教材などがちょうど良いでしょう。
ここでは、細かく聞き取ることと同時に、全体の意味を俯瞰して理解する力を鍛えます。
話の展開や要点をまとめる練習をすることで、リスニングの「理解スピード」が格段に上がります。
3タイプの教材を意識して選ぶ
実はリスニング教材はおよそ3タイプに分かれます。
記事:リスニングの勉強法 ー 教材は3タイプに分類される
この段階に来たら、リスニング教材の種類にも意識を向けてみましょう。
- ① 教材型:基礎力を養う(教科書・試験音声など)
- ② フォーマル型:実践的な理解力を磨く(ニュース・スピーチ)
- ③ カジュアル型:自然な英語を身につける(日常会話・ドラマ)
初心者のうちは①を中心に使い、慣れてきたら②、さらに③へと段階的に広げていきます。
目的に応じてタイプを切り替えることで、より実践的なリスニング力を伸ばすことができます。
聞き取りと俯瞰、両方の練習を
教材タイプの他に、リスニングの上達には、二つの方向の練習をバランスよく行うことが大切です。
- 細かく繰り返し聞く練習(音の変化・語彙確認)
- 全体を俯瞰して聞く練習(内容理解・要約)
この両方を意識して続けていくと、コミュニケーションや情報収集に必要な、音の理解力と内容把握力が同時に伸びていきます。
特に②③の教材を取り入れる段階では、「全体の話の流れ」と「音声変化などで聞き取りにくい箇所」をバランスよく意識することがポイントです。
まとめ
初級者のリスニング学習で最も大切なのは、段階を踏んで、量を積み上げることです。
- 語彙・文法の基礎を固める
- 聞き流しで耳を慣らす
- 一文単位の集中リスニングに移る
- パッセージ理解へ進み、全体把握スキルを養う
- 俯瞰的なリスニングと細部のリスニングのバランスを意識し様々な音声に触れていく
この流れを数か月続けるだけで、確実に「聞こえる英語」に変わっていきます。
verdeでは、こうした初級者向けのリスニングサポートも行っています。
教材選びや学習の進め方に迷われている方は、ぜひご相談ください。
あなたに合ったステップで、英語の「耳」を育てていきましょう。
