「内在化」が英語のスピーキング対策に効くメカニズム【ブックマークおすすめ】

スキル習得の構造を知って、スピーキングを今度こそ効果的に伸ばす
私たちは中学校から(2020年4月以降は小学生から)、英語の授業を受けています。
会話文や長文を先生と一緒に一文ずつ逐語的に訳し、登場する文法や単語を学び、先生の後に続いて音読し、試験で長文の空所補充や内容一致問題、単語問題が出題され、回答する。
そういったプロセスを繰り返し、中学校、高校、大学、と進みます。
英語系の学科などに進むと、プレゼンやディスカッションなどのような、少し新しいタイプの学習方式が追加される事があるかもしれません。
いずれにしても、3年、6年、9年と英語を学び、更には大学入試ではウォールストリートジャーナル(The Wall Street Journal)やナショナル ジオグラフィック(National Geographic)の抜粋記事などネイティブの大人が普段読むような相当難易度の高い長文を読んできた人たちも少なくありません。
にもかかわらず社会人になっても日常会話の勉強をしている人口が非常に多いのは一体どういうことなのか、なぜ中学生ぐらいで基本的な英会話(生い立ちや趣味の紹介など)ができるようになっていないのか、不思議に思った事はないでしょうか?
この記事では、主にスピーキング能力(アウトプット)に焦点を当てて、理想的な会話力習得の構造から、私たち日本人の特徴を読み解き、スピーキング克服のための方策を考えていきます。
実はリスニングにおいても、学習構造を見ると、「リスニングをやっているのにアメリカ人の言っている事が分からない」原因を突き止める事ができます。興味のある方はこちらの記事をどうぞ👇
記事『リスニング学習の構造を知ろう|リスニングの勉強は3タイプに分類される』を読む
そもそもアウトプット学習とはどんな成り立ちをしているのか
インプットとの差からアウトプットを見て行きます。
インプット:見たパーツを脳内にコピペ

インプットには、目から入るインプットと耳から入るインプットがあり、日本人の英語学習は圧倒的に目から入るインプットの比率が高くなっています。
例えば教科書で、架空のクラスメート同士(ケンとメグ)のやり取りを通して「完了形」を学んでいる時、私たちは目から、「ケンは昨年までずっと毎朝ジョギングをしていた」など架空の状況についての英語を目にし、そこに登場した完了形の部分や語彙を記憶します。
要するに、語彙と構文を見た通りに脳内にコピペしていくようなイメージです。(図の青色部分)
アウトプット:「自分の世界」との対面から
「自分のコンテンツ」の存在

ではアウトプットとはどういった過程でしょうか。
アウトプットでは、意見のない人が黙っている(アウトプットを発動しない)ことからもわかるように、
英語以前にそもそも、「自分の発信したい情報」や「自分の発信したい意見」等、「コンテンツの存在」と「発信意思」が前提になります。
ほかでもない「自分の」発信したい情報や意見を、言語という手段を用いて他人に分からせるわけです。(図の黄色部分)
「他人のコンテンツ」との区別
「自分のコンテンツ」を意識する事は、「他人のコンテンツ」との区別をする事でもあり、アウトプット対策を考える上で重要です。
例えば、クラシック音楽と野球観戦が好きで、食品メーカーの企画部門で働いているAさんという人がいる場合、
- 「Aさんの好きなオーケストラの特徴」
- 「Aさんの好きな野球選手、どんなところが好きか」
- 「日本での最近流行りの調味料」
の情報は「Aさんのコンテンツ」ですが、
- 「ケンがジョギングを継続する根性」や
- 「メグの留学準備」
などは「他人のコンテンツ」となり、特段率先してその表現群を身に付けるべきテーマではないということになります。
インプットとアウトプットは真逆で、別回路
「語彙と構文を見たまま脳内にリスト化するインプット」と
「自分のコンテンツを聞き手に伝達するアウトプット」は、
図からも分かる通り、全く異なる性質をもっており、そのため利用する脳内の回路も真逆の別回路です。
英会話対策をする場合、この点を明確に意識した上でトレーニングを選定して行く事が、その後のトレーニングの効果を上げるための必須の過程と言えます。
英語学習の闇 – 抜け出せない日本式インプット
学校英語のインプットの次は、英会話レッスンでまたインプット
英語は勉強してきているのに話せないと悩む学習者の学習法には、どんな特徴があるのでしょうか。
前項のインプット、アウトプットの性質の違いも踏まえて、見ていきます。
中、高、大と逐語的な読解、語彙/文法練習(全てインプット)に徹して来た学習者は、大学生ぐらいになってから、または社会人になってから、英語が話せない事に気が付くケースが多いですが、ほとんどの人が次に選択するのが、「英会話レッスン」でしょう。
英会話レッスンに通うと、特に会話初級コースなどの場合、会話でよく使う構文などを講師やクラスメートと一緒に学び、その場で例文を作り合って、講師に添削してもらうというような流れは一般的な流れの一つでしょう。
構文を覚えて例文を作るのは良い練習です。
しかし大事なのは、「自分のコンテンツ」の認識と発信準備です。
ランダムに教科書に出てきた構文をその場で何となく作り、練習して終わってしまうレッスンであれば、「架空の例文、他人のフレーズ」を中途半端にインプットして終わっているということで、「自分のコンテンツ」とは何のゆかりも発生せず、現実的なアウトプットとしてはほぼ何も身に付いていない可能性も少なくないのです。
インプットに後ろ髪を引かれ続ける日本人
身近な事を言えるようになるための練習が必要と気が付いてもなお、方向性を転換できてない例も実は少なくありません。
それはなぜでしょうか?
受動的な英会話レッスンの受講
一つには、長年継続してきた学校英語や試験対策英語の日本式インプット学習が身体に染みつき、抜け出せない事があるように思います。
「英語学習とは、長文を読み、単語や文法を練習する事」と無意識のうちに定義してしまっているのため、例えば英会話レッスンで自分のコンテンツの発信練習ができていないと気付いても、そのままインプット寄りで居心地の良い英会話レッスンの流れに受動的に乗り続けてしまっているような例です。
「自分のコンテンツ整理」が英語学習に思えない
「自分のコンテンツ整理」を重視する、第二言語習得理論(「内在化」重視)を採用したレッスンやコーチングは昨今増えていますが、
仮にそこで「まずは自分が旅行でどのお店に行きたいのか想像するところから始めてみましょう」「まず作文してみましょう」と「自分のコンテンツ整理」の対策を提案されても、それが英語学習に思えず、不安になって辞めてしまうケースも少なくないようです。
不足を埋めるにはどんな方法があるのか:「内在化」
「自分と向き合う」という動作なしにはスピーキングは始まらない
ここまで読んで頂くと、何を埋めればアウトプットができるうようになるのか、すでに想像されているかもしれません。
ずばり、「自分のコンテンツと向き合う」ことからのスタートです。
先述のクラシック音楽の例であれば、
- オーケストラのコンサート名
- 楽器名と特徴
- クラシック音楽のジャンルと特徴
- 自分の好きなオーケストラ、楽器、ジャンル、演目やその理由
- 最近行ったコンサートやその感想
などを、まずは母国語である日本語で丁寧に整理する事から始めてみます。
日本語が整理できたら、それをAIで英語にし、辞書を引きながらで良いので、丁寧に読んでみましょう。
その英語こそがあなたがアウトプットに必要な英語そのものです。
先述の「アウトプットの学習構造」を踏まえれば、基本はこうした、
「自分と向き合う」動作を出発点として考えを整理し、そこに登場する英語を習得して行く(「内在化」)
という流れこそが、本来あるべきアウトプットトレーニングの姿ではないでしょうか。
記事『“内在化、自動化”というトレーニングの正体。「語学は努力量ではなかった!」』を読む
従来のインプット式を辞めるのが不安な場合
「従来のインプット型学習」と「現実的なアウトプット対策」を並行するのもアリ
英検もTOEIC も、従来のインプット式で上級レベルに到達する事ができますし、従来の学習方式が安心と感じる方も多いです。
会話力を諦める場合や、英語に触れられていればそれだけで楽しいと感じる場合は、従来の学習方法のみの継続でも良いと思います。
ただもし会話力を諦めない場合は、例えば、
- TOEICの練習問題を解きつつ、日記を付ける
- 英検の練習問題を解きながら、自分の趣味を整理する
など、「従来のインプット型学習」と「現実的なアウトプット対策」を並行する事も一つの方法です。
平行する場合は、学習メニューが入り組みますので、学習計画についてコーチング(無料体験や無料相談など)などで相談するのがおすすめです。
記事『「推し活 × 英語学習」の成功実例を紹介|何をやっても三日坊主だったKさんが楽しく英語学習を継続できた方法』を読む
まとめ
スピーキングが伸びない時は、構造を見よう
「内在化」が根こそぎ抜けている英語学習文化の中で、スピーキングが伸びない原因と「内在化」の関係はほとんど明白です。
スピーキング対策の構造を踏まえ、まずは、自分の生い立ち、趣味、仕事などについて、英語で表現できるかどうかを確かめてみる事などは一つの始め方かもしれません。
記事『台湾の救急外来で初めて気づいた。「あれ、私、中国語で普通に話してる」|第二言語習得理論「インプット仮説」の実体験を紹介』を読む


