成人になってから英語を学び直す場合、特に50代の学習者にとって重要なのは、的を絞って必要なことだけに集中する姿勢です。中高生の頃のように膨大な時間をかけて網羅的に学ぶ方法は、効率が悪く、挫折の原因にもなります。
50代では、学習時間や体力が限られていることを考えると、「何を学ぶか」と同じくらい「何を学ばないか」を意識することが成果につながります。
必要なのは、少ない時間で最大の効果を得られる学習法です。
一点から深く学ぶ方法
自作パッセージから全てを広げる
50代からの学習で特におすすめなのは、「一点から深く学び、そこから広げていく」学び方です。
具体的には、6000字程度の文章を教材として自作し、その文章から語彙、文法、文法の構成パターン、パッセージの展開パターンなどを吸収して行きます。
自分の経験や関心を軸とする
特に50代では、自分自身の経験や関心に直結したテーマを題材にすると学習効率が高まります。例えば、仕事や私生活に関する作文を作り、それをAIに自然な英語に翻訳してもらいます。必要に応じて英語のレベルも調整できるため、無理なく学習できます。
その文章を音読ツール(音読さん)でネイティブ音声に変換すれば、自分だけのオリジナル教材が完成します。
英語読み上げツール「音読さん」
英語読み上げツール「音読さん」:
登録で月5,000字まで無料読み上げ
読み上げと音声のダウンロードが可能です。(おすすめ声タイプは ’Aria’)
声などのパターンを確認するたびに利用文字数としてカウントされてしまうので、原稿が完成してから(最終版になってから)の利用がおすすめです。
語彙、文法、リスニング、音読で学ぶ
語彙
まずは知らない単語について全て辞書を引き、単語の側にメモしていきましょう。
この後文法→精読と学習を進める際に、側に書いておけばわざわざ単語帳を見返しに行く必要がなくなります。
時間ができた際に、語彙は用法が分かるようにフレーズ単位にしてリスト化し、復習しておきましょう。
文法
語彙の意味が全て分かったら、主語や述語、that節、関係代名詞など、文の骨格を成す大きな単位の文法を本文から見つけ色分けなどしながら印を付けて行きましょう。骨格を成す文法がどれか分からない場合は全文をChatGPTに送って骨格的文法を3ー4つ挙げてもらいましょう。
そこまでできたらそれ以外の瑣末な文法の不明点を一つずつ解消していきます。
熟語、慣用句、構文、文法規則に倣った動詞の変化など、様々な文法パターンがあります。独学だと理解に時間かかる部分なので焦らず一つ一つChatGPTやTry it と解消して行きます。
リスニング+音読
語彙と文法の整理が終わったら、音読さんで生成した音声を再生してみましょう。
最初は速くて付いていけないかもしれませんが気にせず何となく全体と各文法や語彙に追いつけるぐらいまで、何回でも聞いてみましょう。
ある程度全体を聞いたら、一文ずつ丁寧に聞いて行きましょう。
この段階では、そこまでに学習した語彙や文法にしっかりと注意を払いながら一文を聞いて行けると良いです。
できそうなら一文を再生し、一時停止し、できるだけネイティブを真似て本文を朗読してみましょう。この時細かな単語や文字の発音は気にしすぎず、一文全体の抑揚や文の内容に意識を向けるようにしましょう。言い間違えは問題ありません。満足いくまで何回でも繰り返しましょう。
最終文まで音読ができたら、全体を再生しながら、一時停止までの塊を少しずつ大きくしていき、最終的に流しながら影のようについていく「シャドウイング」が出来るようになると理想的です。
毎日のシャドウイング
シャドウイングまでできるようになってきたら後は毎日同じことを2-3週間繰り返すだけです。
一日2-3回を目安に語彙、文法、内容をしっかり意識し、シャドウイングを行いましょう。
新出フレーズのリスト化と復習
作文に登場した各表現は、文法要素も含めてリスト化し、日→英ですぐに英語が出るように暗記して行きましょう。
シャドウイングまで行って安心して終わりにしてしまうケースが多いですが、新出フレーズの復習は、第二言語習得論のアウトプット過程の「自動化」と言われる大切なトレーニングの最終過程です。
実践会話への応用
AI英会話の活用
精読とシャドウイングが習慣化したら、次は実践会話です。AI英会話やオンライン英会話を活用して、作文のテーマについてプレゼンテーションや雑談、ロールプレイを行うことで、実践的な表現力が身につきます。
表現力の強化+即応力
この段階では、作文やそのシャドウイングだけでは出会えなかった新たな表現や語彙にも出会う事ができます。
また、会話の中で予想外の展開や文章の組み立てが上手くいかない時の凌ぎ方など、作文を利用した各トレーニングでは鍛えきれない側面を鍛える事ができます。
暗記に頼らない学習の利点
「単語帳の単語」と「身の回りのフレーズ」の収納先は別
ここまでの学習法では、単語帳や文法書を丸暗記する必要は一度もありません。
それでも、中学・高校レベルの文法知識のほとんどを自然に習得し、多くの語彙に出会え、リスニング、実践フレーズの拡充も並行して行うことが可能です。
「試験勉強」と「実践英語」は別の教科
英語は暗記科目のように見えますが、その側面は全体のほんの一部に過ぎません。
自分の生活や仕事に直結する文章を通して学ぶことで初めて、使える英語が身に付くのです。
練習文の一例(仕事、私生活の2パターン)
会社・チームの課題(日本語)
私は医療機器メーカーで部長を務めていますが、日々直面する課題は数多く存在します。まず大きな問題は、市場や規制環境の変化に迅速に対応しなければならない点です。医療業界は規制が厳しく、法改正や承認プロセスの変更が頻繁に起こります。その度に私は研究開発や品質管理のチームと協力し、製品を安全かつスピーディーに市場へ届けるための調整役を担わなければなりません。しかし安全性を優先しすぎると競合に遅れをとり、スピードを重視しすぎると品質にリスクが生じます。このバランスの難しさが、常に私の大きな悩みとなっています。
人材面でも課題は深刻です。優秀な人材の確保は容易ではなく、特に若手社員の定着が難しいのが現状です。日々の業務に追われて十分な教育や指導ができないまま、結果として経験豊富な社員に負担が集中してしまいます。私は本来、部下のキャリア形成やスキルアップを支援したいのですが、時間とリソースの制約がそれを阻んでいます。チームのモチベーションをどう維持するか、離職をどう防ぐかは、私の頭から離れることがありません。
さらに、グローバル競争の激化も無視できません。海外メーカーは低価格かつ革新的な製品を次々と投入しており、自社製品の差別化が急務です。私は営業やマーケティングと連携して顧客の声を製品開発に取り入れる体制を整えようとしていますが、縦割りの組織文化が障害となり、情報共有や意思決定が遅れることが多々あります。スピード感のある組織づくりは、私にとって最大の課題の一つです。
そして何より、私は経営層と現場の間に立つ存在です。経営からは数字と成果を求められ、現場からは理解とサポートを期待されます。その両方に応えることは容易ではなく、時に板挟みとなります。それでも、私は自らの役割を「橋渡し」と捉え、戦略的な視点と現場感覚を同時に持ち続けるよう努めています。責任の重さに押しつぶされそうになることもありますが、この役割を果たすことこそ、私に課せられた使命だと信じています。
会社・チームの課題(英語)
As a department manager at a medical device manufacturer, I face numerous challenges every day. One of the biggest issues is the need to respond quickly to changes in the market and regulatory environment. The healthcare industry is heavily regulated, with frequent legal revisions and shifts in approval processes. Each time, I must act as a coordinator, working with R&D and quality control to ensure that our products reach the market both safely and promptly. However, if we focus too much on safety, we risk falling behind competitors, while prioritizing speed can compromise quality. Striking the right balance is a constant source of concern for me.
Human resources present another major challenge. Securing talented individuals is never easy, and retaining younger employees has become increasingly difficult. Overwhelmed by daily operations, I am often unable to provide sufficient training or guidance, which results in heavier workloads for more experienced staff. I want to support my team members’ career development and skill growth, but limited time and resources often prevent me from doing so. Maintaining motivation and preventing turnover remain pressing concerns that weigh on my mind.
Global competition is also intensifying. Overseas manufacturers are flooding the market with low-cost, innovative products, making differentiation of our own offerings an urgent priority. I am working to build systems that incorporate customer feedback into product development by collaborating with sales and marketing. Yet, our siloed organizational culture often delays information sharing and decision-making. Creating a faster, more agile organization is one of my most critical missions.
Above all, I find myself caught between upper management and the frontline. Executives demand numbers and results, while employees expect understanding and support. Meeting both expectations is never easy, and at times I feel torn between the two. Still, I see my role as a bridge, striving to balance strategic vision with frontline realities. Although the weight of responsibility can feel overwhelming, I firmly believe that fulfilling this role is my duty and my mission as a manager.
私生活の課題(日本語)
仕事と同じように、私生活にも多くの課題を抱えています。私は家庭を大切に思っていますが、長時間労働や出張が多いため、家族と過ごす時間が十分に取れません。子どもの学校行事に参加できないことも多く、家族に寂しい思いをさせているのではないかと常に心配しています。配偶者が家事や育児を担ってくれているものの、負担が大きく、感謝と同時に申し訳なさを感じています。
また、健康面の課題も無視できません。忙しさのあまり食生活が乱れがちで、運動不足も続いています。年齢を重ねるにつれて体力の衰えを実感することが増え、このままでは将来に不安を残すと感じています。健康診断の数値が少しずつ悪化しているのも気がかりで、改善の必要性を痛感していますが、実行に移す余裕がなかなかありません。
人間関係でも悩みがあります。学生時代の友人や趣味の仲間と会う機会が激減し、孤独を感じることがあります。ストレスを発散する場が限られ、心の余裕を失いがちです。時には小さなことでも家族に苛立ちをぶつけてしまい、自己嫌悪に陥ることもあります。バランスを欠いた生活が、精神面にも影響を与えているのだと実感します。
さらに、将来に対する不安もあります。子どもの教育費や老後の資金準備など、経済的な課題は尽きません。仕事の成果がそのまま生活の安定につながるとは限らず、リスクに備える必要性を感じています。私は日々、家庭と仕事の両立を模索していますが、どちらかを優先すれば必ずもう一方にしわ寄せが生じます。この葛藤こそが、私生活における最大の課題だと考えています。
私生活の課題(英語)
Just as in my work, I face many challenges in my personal life. I value my family deeply, yet due to long working hours and frequent business trips, I cannot spend as much time with them as I would like. I often miss my children’s school events, and I constantly worry that I am making them feel neglected. My spouse bears the majority of housework and childcare, and while I am grateful, I also feel guilty for placing such a heavy burden on them.
My health has also become a concern. Because of my busy schedule, my eating habits are inconsistent, and I get little exercise. As I grow older, I feel my stamina declining, and I worry about the long-term consequences if I continue on this path. My health check results have shown a gradual decline, which troubles me, and although I know I must make changes, I struggle to find the time and energy to follow through.
I also struggle with relationships. I rarely meet old friends or hobby companions, which sometimes leaves me feeling isolated. Without enough outlets for stress relief, I often lose my emotional balance. At times, I even find myself snapping at my family over trivial matters, only to fall into self-reproach afterward. I realize that an unbalanced lifestyle is taking a toll on my mental well-being.
On top of this, I have anxieties about the future. Concerns about my children’s education costs and financial preparation for retirement are always present. My professional achievements do not automatically guarantee financial stability, and I feel the need to prepare for uncertainties. I am constantly trying to balance work and family, yet focusing on one inevitably strains the other. This ongoing conflict is, I believe, the greatest challenge in my personal life.
まとめ
市販テキストを使っていない事を不安に思わなくて良い
テキストや単語帳を一冊も使わずにたったこれだけで英語が出来るようになるの?と思った方もいるかもしれません。
もちろん語彙を単語帳で増やし、長文読解に毎日取り組めば英語力に一層柔軟性を持たせる事ができるのは確かです。
一方で、英語の骨格的要素や主要な文法はは、3-5パッセージにしなどからほとんどの項目について触れる事ができます。
語彙も自分とは関係のない会話文から得るよりも、自分に深く関連するの会話文や紹介文を使う事で、使用頻度の低い語彙を徹底的に避ける事ができます。
またAI含むネット上の語学学習ツールが成熟した今、自分に必要な学習ポイントは、書籍から該当箇所の探すのではなく、ピンポイントで「取りに行ける」時代です。
中高年こそ自作テキストの価値が高い
時間や体力に限りのある中高年こそ、参考書からではなく、自作のテキストや、ピンポイントのAI含むネット上の学習ツールを通して取り組んで行く価値が高いと言えるでしょう。
