“avail oneself of” の違和感|「avail oneself ? of ?? ん?」と悩む全ての英語学習者の方へ

英語を読んでいて、「あれ、この単語どう訳せばいいんだろう?」と立ち止まる瞬間があります。
例えば、

“Every procedural maneuver(パスィージョル マニューバー), every stratagem(ストラテジェム); – we’ll avail ourselves of all of it.”
「あらゆる手続き上の操作、戦略、…私たちはそれらを余すことなく利用するのよ。」

「なぜavail の後ろにourselves が来るのか?」
「なぜ前置詞がof なのか?」


今回はこの “avail oneself of” を、語源やコアイメージを通して紐解きます。


「avail」の語源 ー “価値の方向へ向く” というイメージ

“avail” の語源は、ラテン語の ad(~の方向へ)と valere(価値がある、強い)から来ています。
つまり、「価値のある方向に向かう」「役に立つ方向へ働く」というのが基本イメージ。

この語源を踏まえると、「価値がある → 効果がある → 利用できる → 役立つ/役立たせる」という意味の流れが自然に見えてきますね。


辞書上の意味と “avail” の用途

実際に辞書で “avail” を調べると、動詞・名詞の両方で使われています。

動詞(自動詞)

  • SERVE(役に立つ)
     例:Their effort has availed(served).(彼らの努力は役に立った)

動詞(他動詞)

  • GAIN(得る)
     例:Their effort has availed(gained) nothing.(彼らの努力は何の成果も得なかった)

名詞

  • USE, BENEFIT, HELP(効用、利益)
     例:Their effort was of no avail(use).(彼らの努力は無駄だった)

ここまで見ても分かるように、“avail” は「結果的に価値をもたらす/もたらさない」というニュアンスを持つ言葉なのです。


本題 – 「なせ”oneself” が?」「”of” の解釈は?」

さて、本題に戻りましょう。

“avail oneself of ~” は句動詞

冒頭の “avail ourselves of all of it” は、結論から言えば「句動詞 」“avail oneself of ~” です。
意味は 「~を利用する」「~を活用する」 です。

“serve themselves” と仮定してみる

しかしなぜavail の後に 彼ら自身 themselves が来るのでしょうか

一見解釈しずらいですが、先のSERVE(役立つ/助けになる)の意味で avail が使われていると仮定すると、serve themselves となり、「彼ら自身を助ける」というような解釈ができます。

またここでの “ourselves” は再帰代名詞で、「自分たちのために利用する」というニュアンスを強調しています。
つまり “avail oneself of” は「自分の利益のために使う」という自己利益的な要素も少し含む表現です。

“of” はそもそも、所属、所有、部分、同格、分離、行為の主体

of はと言えばそもそも、所属、所有、部分、同格、分離、行為の主体、行為の対象などの意味を持っていて、
avail oneself of では、”made out of” などからも感じ取れるように、「Aの素質の一部を分離し持ち出してきた」というニュアンスを据えると収まりが良いかもしれません。

They availed themselves of his services.
(彼らは彼の助力を存分に利用した。)

おまけ – “of no avail” と “but to no avail” の違い

この単語で特によく使われる表現が “of no avail” です。
意味は「効果がない」「無駄である」。少しフォーマルで文学的な響きを持ちます。

Their appeal was of no avail.
(彼らの訴えは無駄に終わった。)

また、これとよく似た表現に “but to no avail” があります。

We shouted for help at the top of our voices, but to no avail.
(声を振りしぼって助けを求めたが、無駄だった。)

この “to” のニュアンスが気になる方も多いと思います。
実はここでの “to” は「結果として(~に至って)」の方向性を表しており、
「努力はしたが、その結果(to)=無駄に終わった」という意味合いを自然に示しているのです。
つまり “to no avail” は “resulting in no success” と言い換えられる表現です。


まとめ:「句動詞」「serve」「持ち出すの of」で解決

最後に、今回のポイントを整理しましょう。

  • 語源:「価値(val)に向かう(a-)」=「価値を生む」イメージ
  • 基本意味:「役立つ」「利益になる」
  • 「なせ”oneself” が?」「”of” の解釈は?」
    • 句動詞である
    • serveに置き換えて考える
    • of は素質を持ち出すニュアンス

少し古風で力強い印象を与える言葉でもあります。
ニュースやスピーチなどで耳にしたら、「あ、これが avail か」とぜひピンと来るようにしておきましょう。


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