英語学習者が陥る「永久初心者」のループを断ち切る!独学で失敗しないための最重要プロセス、効果的な「基幹文法」の学び方を徹底解説。
はじめに:なぜ日本人は何十年も英語を勉強し続けるのか
英語学習を始めたばかりの初心者の方にとって、語彙、文法、リスニングをどこから手をつけるべきか、迷うことが多いでしょう。多くの学習法ではそれらを並行して進めることを推奨しますしそれで良いのですが、独学で成功するための最も大切なのは、「基幹文法」の攻略は真っ先に取り入れる事にあります。
この「基幹文法」という名の学習の歯車が噛み合わないまま学習を進めているからこそ、私たちは何十年も英語学習を続け、いつまでも「一章の勉強」を繰り返すことになってしまうのです。
本記事では、この悪循環を断ち切り、自主学習の歯車をかけ、一気に中級者へとブレイクスルーするための、基幹文法に絞った学習戦略を具体的にお伝えします。
「基幹文法」とは何か?
中学校で学ぶ文法は、その多くが体系的ではなく、瑣末なルールから学習を始める傾向があります。これを、電車に例えて考えてみましょう。
もし、瑣末な文法(冠詞、助動詞など)が電車の座席の位置や色だとしたら、”基幹文法(文型、品詞)”は、電車の車両やレールそのものです。座席の位置から学ばせようとする従来の中学文法は、構造を理解する前に細部に注意を向けるため、中学生を混乱させ、結果として挫折させてしまいます。
私たちがまず手を付けるべきは、時制やbe動詞と一般動詞の使い分けといった「座席」ではなく、”文の土台となる「品詞」と「文型」”です。
独学を成功させる「基幹文法」8つのテーマ
車両となる「基幹文法」の学習に実際に入って行きます。これらは、文章テーマとや方向性を決定したり、引用したり、長い名詞を組み込んだりなど、大枠の方向性を決定するのに不可欠な、文章の「車両」を増やすための文法事項です。
これらの項目を優先的に学ぶことで、英文の構造理解が格段に進み、「日本語でそのまま訳せない」表現にも対応できるようになります。
- 品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞などの役割): すべての文法の土台です。単語の役割を知らなければ、文型も理解できません。
- 文型(SVOなど、文の骨格): 英文の核となる「主語・動詞・目的語」といった骨組みを理解します。
- 副詞節: カンマで文の前後を区切り、時(When)、理由(Because, Since)、譲歩(Though)といった条件や状況を付け加える文章構造です。
- 関係詞(who, which, thatなど): 長い形容詞句や名詞句を作り、文の大きな一部を構成する必須の要素です。
- that節: 引用や内容を動詞の目的語として「ぶっ込む」ことができ、名詞節や従属節の基礎となります。
- 不定詞(to+動詞の基本用法): 目的や理由を一文内で表したり、名詞・形容詞・副詞として機能させたりするための文法です。
- 分詞構文: カンマで前後を繋ぎ、2つの動作の連続や同時性を示す、簡潔な表現を可能にする構文です。
- There is / are ~の構文: 日本語の「~がある」とは異なる、存在を表す特殊な英語表現です。
これらの基幹文法を体系的に学ぶことで、今までバラバラに見えていた個別のルールが、一本の大きな構造線の上に位置づけられるようになります。まるで別世界の様に白黒はっきりしてくるでしょう。
「座席」を先に学ぶと陥る「置き去り現象」
なぜ、多くの学習者が中学英語で挫折するのでしょうか。それは、文の骨格を成さない文法(座席)を先に学ぶからです。
例えば、冠詞(a/an/the)や助動詞(can/willなど)は、単語一語で文の骨格を成しません。先に知ったところで、それが文のどこで、どういう機能で使われるのかがよく分からず、知識が宙ぶらりんのまま置き去りにされます。
- 中学1年生で基本動詞や時制を習うものの、文型が出てこない。
- 中学2年生になっても文型をきちんと習うより先に、長文が出てきてしまう。
このような構造では、生徒が混乱するのは当然です。しかしその落とし穴に気づかないまま大人になった私たちは、「中学英語を一から学び直そう」という呪縛に捕らわれたまま、大人になっても同じ轍を踏み続け、悲惨な「永久初心者」の状態から抜け出せなくなってしまうのです。
基幹文法を確実にモノにする学習プロセス
この基幹文法を独学で効果的に習得するために、具体的な学習方法をご提案します。
1. 動画講義を活用した「用途」の徹底理解
まず、文法書を最初から読み始めるのではなく、動画コンテンツを活用します。
- 該当項目の動画を5回前後繰り返し視聴する: 例えば、「副詞節」の解説動画を集中して視聴し、その文法項目が「英文の中でどのような機能(用途)を果たすのか」を深く理解します。
- 動画の利用: YouTubeなどで「副詞節 英語」「文型 SVOO」などのキーワードで検索し、”Try It(トライイット)” のような無料教育チャンネルの該当動画を繰り返し視聴するのは非常に有効です。
2. 文法書を使った「知識の体系化と演習」
用途が理解できたら、市販の文法書を辞書のように使います。
- 文法書を最初から読まない: 買った文法書を最初から始めるのではなく、先ほどの動画で学んだ「副詞節」の項目だけを開いて解説を読み、理解を補強します。
- 該当項目の練習問題を解く: 文法書に付属の練習問題や、問題集の該当項目だけを実施し、インプットした知識をアウトプットにつなげます。
3. ChatGPTを活用した理解度チェックと実践練習
現在では、AIツールを最高の個別指導教師として活用できます。
- 練習問題の生成依頼: ChatGPTに「今、文型(SVOなど)の勉強を終えました。理解度チェックのために、日本語訳と解説付きの穴埋め問題(5問)を生成してください」と依頼します。
- 解説の依頼: 間違えた問題や、いまいちピンと来ない文法項目について、「この文のto不定詞は、名詞的用法ですか、副詞的用法ですか?違いを具体例で教えてください」といった形で解説を依頼します。
基幹文法を終えたら中級者へ
上記8つの基幹文法の理解が済んだ時点で、あなたはもう「初心者」ではありません。自主学習の歯車は確実にかかり、英語の構造に対する見方が一変しているはずです。
この段階で、あなたは**「中級者」**の入り口に立っています。
- 構造理解は完了: 英文を構造的に理解する力はついています。
- 不足は語彙とリスニング: まだ圧倒的に語彙力と、耳が英語に慣れるためのリスニング量が不足しています。
ここからは、未習得の瑣末な文法を順に補いつつ、大急ぎで語彙増強・リスニングなどその他の項目に学習をシフトし、中上級の学習を加速させていきましょう。
何よりも先にこの基幹文法の理解があるからこそ、その後の知識がスピーディーに蓄積され、無駄のない自然なステップで成長する事ができるのです。
