英語学習者にとって、リスニングは最も挫折しやすい分野の一つです。
「聞き流していればそのうち分かるようになる」という言葉を信じて長く続けているのに、いざドラマを観ると全く聞き取れない。そうした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
その理由の一つは、「どの種類のリスニングを学んでいるか」にあります。
リスニングとひとことで言っても、実は目的や話し方のタイプによっていくつかの「層」に分かれています。
リスニングには種類がある
英語の音声には大きく分けて三つの種類があります。
① 教材型リスニング
まず一つ目は、教科書や試験問題に使われているような音声です。
ゆっくり、はっきりと、そして音の変化が少なく、学習者にとって非常に聞き取りやすい作りになっています。
たとえば、学校の英語リスニング問題や、検定試験の音声などがこれにあたります。
このタイプの英語は「外国人向けに配慮された英語」と言えるもので、スピードも抑えられ、発音も明瞭です。
リスニングの基礎作りにはとても適しています。発音や文の区切れ方を正確に理解し、意味を取りながら聞く練習に最適です。
ただし、実際の会話ではこのようにゆっくりとした英語が話されることは少なく、現実とのギャップが生まれやすい点もあります。
② フォーマルなネイティブ英語(ニュース・スピーチなど)
次に、ニュース番組やスピーチなど、ネイティブがネイティブに向けて話している英語があります。
このタイプは、発音の自然さやスピードが本物に近い一方で、語彙や文法は比較的フォーマルで整っています。
たとえば、BBCニュースやTED Talksなどがこの部類に入ります。
聞いてみると、明確な発音でありながらも、音の連結や脱落など、実際の英語のリズムが感じられるでしょう。
この段階の音声を聞き取れるようになると、ビジネスの場や留学先での授業など、ある程度フォーマルな環境で対応できるようになります。
③ カジュアルなネイティブ英語(日常会話・ドラマなど)
そして三つ目が、最も多くの学習者が憧れる「ネイティブ同士の日常会話」です。
友人同士の会話やドラマ、ポッドキャストなどで話される自然な英語がこれにあたります。
スピードが速く、単語が省略され、イントネーションも一定ではないため、非常に聞き取りづらいのが特徴です。
たとえば “What are you going to do?” が “Whatcha gonna do?” のように変化するのは日常的です。
このタイプの英語を理解できるようになるには、①②の段階を多少経験してから徐々に慣れていく必要があります。
多くの学習者がつまずく理由
多くの学習者は「日常会話ができるようになりたい」「海外ドラマを字幕なしで楽しみたい」という目標を持っています。
しかし、実際に行っている勉強内容を見てみると、ほとんどの人が①の教材型リスニングしか取り入れていません。
ある程度上級者でも、①と②の範囲にとどまっている場合が多く、③の「ネイティブ同士の会話」に触れていないことがほとんどです。
この状態では、試験やフォーマルな会話には対応できても、自然な会話になると一気に理解できなくなってしまいます。
特に、ネイティブが複数人いるグループ会話では、③の聞き取りができないと話の流れについていけません。
つまり、「試験用の英語」と「生きた英語」の間には大きな壁が存在するのです。
目的に応じた段階的アプローチが大切
もしTOEICや英検などの試験対策が主な目的であれば、①の音声だけでも十分成果を上げることができます。
しかし、将来的に英語を使って会話を楽しみたい、職場でネイティブとコミュニケーションを取れるようになりたい、映画を理解したいという場合には、②や③を早めに取り入れていくことが重要です。
たとえば、①で基礎的なリスニング力を固めた後は、②のニュース英語やTEDのスピーチを聞きながら、「実際の発音の変化」や「文の流れ」を掴む練習をしましょう。
そのうえで、③のカジュアルな会話に少しずつ慣れていくのが理想的です。
聞くだけでなく「分析する」姿勢を
リスニング力を伸ばすには、「ただ聞く」だけではなく、「なぜ聞き取れなかったのか」を分析することが大切です。
スクリプトを見ながら音声変化を確認したり、シャドーイングで発音のリズムを体に染み込ませたりすることで、リスニングの精度は大きく向上します。
また、自分がどの段階の英語に慣れているのかを常に意識することも大切です。
「教材の音声は聞き取れるけど、映画は全く分からない」という場合、それはやはり③の訓練が足りていないのです。
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まとめ
リスニング学習は、「種類の違いを理解し、段階的に慣れていく」ことが何より重要です。
- ①教材型:基礎力を養う
- ②フォーマル型:実践的な理解力を磨く
- ③カジュアル型:自然な英語を身につける
①②③を必要なタイミングで学んでいけば、試験だけでなく、実際の会話の場でも英語がしっかり耳に入ってくるようになります。
「リスニングができない」と感じるとき、それは才能の問題ではなく、どのタイプの英語に慣れているかの問題です。
焦らず、少しずつステップを踏みながら、本物の英語のリズムに耳を慣らしていきましょう。
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